Release It!

Release It! 本番用ソフトウェア製品の設計とデプロイのために

Release It! 本番用ソフトウェア製品の設計とデプロイのために

私はソフトウェアを作ったり、メンテすることを仕事にしている。ソフトウェアの利用者は主に金融機関で、まぁ相手にもよるだろうが一度障害が起きてしまうと周りを巻き込んで大掛かりな後始末をしなければならない。だから、最初にソフトウェアなりシステムなりを作る時には障害を起こさないようにそれなりの注意を払うのが普通だと思うのだが、実際メンテする中で、作る時に注意が足りていなかったんじゃないかと思うことがよくある。
ではどこに注意を払えば良いかというと、それは決して自明ではない。経験的にトラぶったことのある部分には注意を向けられるけれど、大した経験があるわけではないので、全然十分ではない。この本、"Release It!"を読もうと思った理由は、どこに注意が必要で、そこにどういう仕組みが要るのかを知っておきたかったからだ。
今半分ほど読み終わった段階だが、現段階の感触としては、この本はある程度私の期待に応えてくれるように思える。これから私がソフトウェアを設計する場合に、注意すべきポイントがこの本から類推できるだろう。もちろん、書いてあることを十分に咀嚼できることが前提ではあるが。この本の中では具体的な例を用いてポイントを説明してくれるが、出て来る例は私にとっては全然身近ではなく、そのまま参考になるようなものではない。でも例は注意点を指し示すために役に立っているのでこれで十分だ。私はこの内容から、自分にとってのポイントを自力で見つけなければならない。それができれば、私にとって大いに有益な情報になるだろう。
気になることは、この本がどれ位十分なものか、ということだ。この本が指摘してくれることだけで十分だと思うほど、私は楽観的ではない。しかし、不十分なところがどこで、その部分についてどうやって知識を得たら良いのか私にはわからない。この本を読み終えたら、もっと広い視点から全体像を考えてみる必要があるだろう。